実用材料の多くは、原子スケール(ミクロ)からミリメートルスケール(マクロ)に至る階層的かつ不均一な構造を有しており、その性質や機能は、空間・時間にまたがる多様な現象によって決定されます。これらの材料を理解・設計するには、ミクロからマクロ、静的から動的に至るまでの構造と特性の関係性を、包括的かつ定量的に捉えることが不可欠です。本研究室では、放射光を用いた最先端のイメージング・分光技術の開発を通じて、ナノからマイクロ、さらには時間軸にまで拡張した未踏の時空間スケールでの観察・解析に取り組んでいます。特に、放射光の高いコヒーレンス性を活かしたコヒーレント回折イメージングや、オペランド環境下でのX線吸収分光イメージングにより、従来の手法では捉えられなかった構造や現象の可視化を実現しています。さらに、データ駆動型アプローチや機械学習技術と組み合わせ、取得した多次元データから材料特性と微細構造の相関を抽出・解析する新たな研究基盤の構築を目指しています。