高分子は軽量性・柔軟性・加工性などに優れた物質であり、基幹材料として産業的に広く利用されています。高分子材料の物性は、化学構造や分子鎖の配列を制御することに加え、異種高分子や無機物質を混合することで幅広くコントロールされています。しかし、材料の内部に形成される分子・ナノスケールの微細構造と巨視的な物性・機能の相関関係は明確になっておらず、より高性能・高機能な高分子材料を設計する上でこの関係の解明が強く求められています。
当研究室では、高分子材料内部の微細構造やそのダイナミクスを精確に観測するため、最新の透過型電子顕微鏡法の開発に取り組みつつ、巨視的な物性・機能を分子レベルから理解することを目指しています。具体的には、高分子・無機複合材料の原子分解能観察や変形ダイナミクスの観察・高分子結晶のナノスケールマッピング・単一高分子鎖の原子分解能観察・ナノ相分離構造の3次元観察等に取り組んでいます。