X線などの量子ビームは、原子スケールから日常スケールまで、幅広い範囲で物質の内部構造を可視化するために使われています。ただし、例えばX線の場合、高分子材料、軽金属、あるいは生体軟組織など、比較的軽い元素で構成される物体に対して十分なコントラストが得られないという問題があります。ところが、波としてのX線の性質に基づく位相コントラストを生成・利用すれば、この問題は緩和され、量子ビームの利用価値は桁違いに膨らみます。本研究室では、X線位相計測に基づく高感度画像計測技術を創始し、従来の常識を覆す数々の成果を世界に発信してきました。量子ビーム物理の基礎に立脚し、他では実現できない実験環境構築と先端計測研究を推進するとともに、実用展開を視野に入れた産業界との共同研究も行っています。