当研究室では低温・強磁場・高圧下の多様な環境条件の下で、X線・放射光・中性子を用いた高分解能結晶構造解析のための計測技術確立と、精密な電子密度あるいは原子核密度の分布解析に基づく物質の構造相転移及び物性の機能発現の起源について研究を行っている。図に示すのは、中性子とX線構造解析により可視化された水素結合型誘電体の原子核密度分布と、水素原子に注目した電子密度分布である。酸素原子に挟まれた水素原子内で、原子核と電子の重心位置がずれる事により、1原子内で巨大な電気分極(電子分極と呼ぶ)が生じている事を示している。その他にも、磁性強誘電体における巨大電気磁気効果について、結晶・磁気構造解析の立場からその微視的起源を明らかにする研究も行っている。更に我々は高圧合成を基盤とした新物質・新機能の開拓とその構造物性研究にも取り組んでいる。本年度末に再起動予定の研究炉JRR-3では、中性子二次元検出器の開発とそれを用いた超高精度の構造解析手法の開発を行う予定である。