我々のグループでは電子スピンの多体相関による新奇な量子相 (c)の探索とその解明を目指しています。この目的を達成するため、スピンの動的性質を直接観測することのできる中性子非弾性散乱を主たる実験手法としています。近年量子系の性質をその連続変形に対する不変性(トポロジー)を用いて理解する方法論が盛んに研究されています。電子系におけるトポロジカル絶縁体はその代表的な例です。我々はこのようなトポロジカルな性質を磁性体における素励起(準粒子)に対して探索し、量子反強磁性ダイマー物質 Ba2CuSi2O6Cl2 においてトポロジカルな磁気準粒子励起を発見しました。他にも磁性体中のトポロジカルな磁気テクスチャーである磁気スカーミオンの遅いダイナミクスの解明等、電子スピン集団のトポロジカルな性質の解明が進んでいます。