持続可能な社会の実現には、省資源・省エネルギーでコンパクトな高機能デバイスや新物質の開発が必要であり、そのためには、電子顕微鏡を基礎としたナノスケールでの構造・物性解析手法の確立とその適用が不可欠です。これまでに、我々の目標である「ナノスケール構造・物性解析システムの構築」の実現を目指し、世界初の精密構造解析用分光型電子顕微鏡および解析ソフトウェア、高エネルギー分解能EELS電子顕微鏡、世界初の価電子状態分析電子顕微鏡など、オリジナルな手法・装置の開発とその機能評価への応用を行い、物性の解明と手法の有用性を実証してきました。図は、熱線遮蔽材料として用いられているCs ドープ酸化タングステンのプラズモン振動の結晶方位依存性を角度分解EELSにより測定した例です。近赤外光エネルギー領域で、結晶方向に依存して2つの振動エネルギーが存在し、これらが高効率な近赤外光遮蔽性能の起源であることを解明しました。