機能性材料において、ナノスケールの局所構造や結晶・ドメイン界面に起因する特異な物性の報告が増加しており、局所結晶構造解析の重要性が高まっています。このためには、透過電子顕微鏡を利用して、ナノサイズに収束した電子プローブを試料に照射する収束電子回折(CBED)法がきわめて有利です。本研究分野では、CBED法を用いて動力学回折(多重散乱)理論計算に基づく定量的な局所結晶構造解析を世界に先駆けて実現し、強誘電セラミックス材料、固体燃料電池関連材料、強相関電子系材料等に適用しています。現在、走査透過電子顕微鏡(STEM)法とCBED法を組み合わせたSTEM-CBED/4D-STEM法を活用して、結晶界面・ナノドメイン構造のような非周期・不均一構造から局所結晶構造・静電ポテンシャルの空間変化を定量解析する手法の開発に取り組んでおり、局所構造・界面に起因する新規機能性材料開発に寄与することを目指しています。