タンパク質は、20 種類のアミノ酸が一次元的につながった高分子であり、生体中においてさまざまな機能を発揮する究極の機能性分子です。タンパク質が機能を発揮するには、アミノ酸の配列により定められる特定の構造に折り畳まれる(フォールディングする)必要があります。しかし、アミノ酸配列と構造の関係はいまだに理解されていません。さらに、あるタンパク質が、どのような運動により機能を発揮するのかもしばしば未解明です。本研究分野では、独自に開発した一分子蛍光観察法を用いることで、タンパク質のフォールディング過程を直接観察し、タンパク質構造の構築原理の解明を目指しています。また、癌抑制タンパク質であるp53がDNA上をすべり運動することで、ターゲット配列を探す過程の解明も目指しています。さらに、一分子観察実験により得られたタンパク質フォールディングと機能に関する知見を基に、新規タンパク質をデザインする手法の開発にも取り組んでいます。