2011年の福島第一原発事故により、膨大な量の様々な放射性廃棄物が発生しました。この中には核燃料デブリなど現時点ではアクセスが限られ、性状や汚染の程度などが不明な取り扱いの難しい廃棄物が含まれます。これらは今後30-40年をかけて順次取り出され、安定化や廃棄体化処理を施し、処分される見込みです。これを実現するには廃棄物の性状や含まれる放射能量を正確に把握する必要がありますが、廃棄物には毒性が高く化学挙動が複雑な種々のアクチノイド元素等が含まれます。当研究室では、この困難な課題に放射化学アプローチによる実験研究で取り組んでいます。具体的には模擬デブリ合成・分析による燃料デブリの物理・化学特性の把握、汚染水へのアクチノイドの溶出挙動研究、さらには新規な汚染物の安定化および廃棄体化法の開発等を行っています。これにより、現在の日本における最も困難な工学課題である福島第一原発の廃止措置に大学の研究室として貢献することを目指しています。