多種元素の組み合せからなる無機化合物には未開拓の物質群が数多く存在し、既知の材料にはない特性をもつ物質が潜んでいる可能性がある。当研究室では固体化学の観点から、新規多元系無機化合物の探索と、得られた物質の構造解析や特性評価を行い、それらの新しいセラミックス素材としての可能性を探求している。新規物質の発見が直ちに実用材料に結びつくことは希だが、未知の物質で有用な特性が見出される可能性があり、多元系で生成する物質の探索や生成相の関係を明らかにすることは、大学の基礎研究に託された大切な課題のひとつと考える。また、当研究室では、セラミックス素材の作製法として一般的な固相反応法に加え、金属ナトリウム(Na)などの金属融液を活性反応場とする新たな合成方法を研究し、従来法では合成が困難な条件での微粉体や単結晶,多孔体など様々な形態の無機材料合成と、新たな機能を有するセラミックス素材の開拓を目指している。